『草食系姉の復讐』
結婚式の花嫁引き立て役をブライズメイドと呼ぶらしい。友達の結婚式にブライズメイドで出席した時のドレスを27着もクローゼットにためこんでいる、ちょっとイタい女の子ジェ?ンを演じているのがTVドラマ『グレイズ・アナトミー』でブレイク中のキャサリン・ハイグル。スラリとした長身でおまけに巨乳、一般人にまぎれこめば間違いなくシンデレラになれるほどの美人ちゃんではあるが、映画の中ではなぜか妹テスの引き立て役という何とももったいないキャスティング。
このキャサリン・ハイグル、同性からの受けが非常によろしいという話を聞いたことがある。<同性から受けがいい=自分より目立たなそう=人の男にちょっかいをださなさそう>ということなのだろう。要するに、生存競争の邪魔にならない安全パイに見える人間というのが、どうも同性に好かれる必要十分条件のようだ。その意味で、美人ではあるけれどギラって見えないハイグルをヒロインに迎えたのは、まさに正解だったといえる。
結婚という一大イベントに特別の思い入れがありながら、意中の男(会社のボス)が自分の妹に夢中とわかるや、自らさっさと身を引いてしまうジェーン。彼女の場合、ケヴィン(ジェームス・マーデン)というよき理解者が後で現れたからいいようなものの、お人好しにもほどがあるというのが正直な感想だ。しかし、草食系のジェーンが肉食系の妹にとうとうキレて復讐する手段が、尋常ではないほど残酷なのはどういうわけか。
「お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの」で通してきたアメリカ・グローバリズム経済が曲がり角にさしかかったこの時期に、こんな奥ゆかしいヒロインに出会えたのはある意味象徴的ともいえるが、「あんたらの本質は何も変ってないんじゃないの」と逆に突っ込みもいれたくなる1本だ。
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