『なかなかの力作です。』
茶室とインテリア―暮らしの空間デザイン
有名で多忙なインテリアデザイナーの著書としてイメージしていると、良い意味で裏切られる。非常に丹念に茶道や日本の生活様式が研究されており、そこに自身の仕事から得られている解釈が加わり、相当に重厚な読み応えを感じる。茶道や茶室、そして千利休の本は非常に読みにくく、難解な本が多いが、これは「茶道の哲学」(久松真一)と「千利休?無言の前衛」(赤瀬川原平)と並んで多くの人に推薦したい本だ。建築家やインテリアデザイナーにとっても必読の教科書的存在、と言っても良い。ただ、欲を言えば茶室の概念は過去形にとどまっており、売れっ子インテリアデザイナーとしての新しい視点も垣間みせてほしかった。いずれにしても、デザイン、建築関連の著書として歴史に残る貴重な存在だと太鼓判を押しておきたい。
工作舎 エ1,890円