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『「愛」というものを、一世界として描写す、美しい映画。』
ダーレン・アロノフスキーが好きで毎回彼の映画は観ているが、「永遠につづく愛」などという陳腐極まりない日本盤のサブタイトルでいささか躊躇、手に取るのが遅くなってしまった。
他の方々も述べられているとおり、本作は「ラブ・ストーリー」とは銘打たれてはいるものの物語は非常に精神的な進行で組まれている。
そもそもの舞台である日常の風景よりも主人公とその妻の精神世界での描写が姿を変え時代を変え怒涛の如く続き、それがまた本作の最大の魅力でもある。
特筆すべきは何と言ってもその精神世界内での映像美とその美しき光景をより過剰なまでに美しくさせるクリント・マンセルの音楽であろう。
ラスト・シーン近くの映像の美しさはキューブリックの『2001年宇宙の旅』での宇宙の果てへと進んでいくシーンの映像の美しさに匹敵するものがある。
壮大な音楽と映像が一体と成った突き抜けていくようなダイナミズムには唖然、息を呑む美しさである。
現実の主人公たちに起こること自体は(映画の物語としては)決してドラマティックなものではなく、筋書きだけ見れば、ありふれている、つまらない、とも言えてしまうほどのことなのかもしれないがゆえに、この映画ほど文章で書き表すのが難しい映画も無い。
あくまで日常というものを軸として交わされる「愛」というものが、本来はこれほどまでに深遠で貴きものだということに気付かせてくれる、稀有な作品である。
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 3,161円