『ワインについて書かれた書籍のなかで、最良の一冊』
ワインについて書かれた書籍のなかで、個人的には最良の一冊と思う。
村上春樹の小説から拝借した、安直なタイトルだけはどうかと思うが。
初心者でも理解できる丁寧なガイド、などといった内容ではないが、普通の中産階級に属する人間が、どのようにワインを楽しみ、高級品の価格の高さと戦いながら(?)、いかにして、その奥深い魅力を追求していったかを、丁寧かつ品格の高い文章で書き綴っていったもの。
「強肩ボルドーからいかにして盗塁を奪うか」などという表題に、おもわずニヤリとさせられ、また、藤原俊成の一首がさりげなく登場するあたりに、深く感嘆させられる。
日本にあまた存在するグルメ・ジャーナリストやレストラン評論家など、せめてこの人の知性の半分でも持っていてくれないものか?
新潮社 エ714円